こんにゃくについて

こんにゃくのルーツ

原料の原産はインドシナ半島

こんにゃくは「こんにゃく芋」(こんにゃく玉とも呼ばれる)というサトイモ科の植物の球茎から作られる加工食品です。
こんにゃく芋の原産はインドシナ半島といわれ、現地では芋の形状から「象の足」という異名があります。

今でも東南アジアには数多くのこんにゃく芋の仲間が自生し、その種類は約130種といわれていますが、その多くは日本のこんにゃく芋と品種が違い、こんにゃくマンナンという食物繊維の含まれないこんにゃく芋で、加工しても固まらず、こんにゃく作りには適しません。そのためか、食用として栽培しているのは日本と中国の一部で、定着したのは日本だけです。
こんにゃくは6世紀頃仏教とともに中国より伝わったとされていますが、はっきりとしたことはわかりません。

こんにゃく芋とはどんな芋?

一人前になるまでには3年かかる

こんにゃく芋は、じゃが芋と同様にタネイモから増やしますが、じゃが芋と違って成長するのに2〜3年必要です。

まず、春にタネイモを植えると新イモができ、そこから地下茎が伸び、秋には生子(きご)というこんにゃく芋の“赤ちゃん”ができます。この生子を一度収穫し、次の春に再植付けをしたものを1年生、これを秋に収穫したものを2年生、さらに次の春に植えて秋に収穫したものを3年生と呼びます。

生子から1年生では5〜10倍に、2年生から3年生ではさらに5〜8倍に成長し、3年生になると大きいもので直径30cmほどに成長します。こんにゃく作りに適しているのはこの3年生ですが、こんにゃく芋は低温に弱く、腐りやすいため、収穫してから次に植えるまでの保管がとても難しい作物なのです。

こんにゃく芋の一生は約4〜5年です。3年生以降はそれほど大きくならず、花茎が伸びて花が咲くと生子は増えなくなります。
こんにゃくの花は、濃い赤紫色をしています。同じサトイモ科の水芭蕉やカラーに似ています。花が開くと強烈なにおいがします。
葉は地面の下から葉柄が伸び、その先に1枚だけつけるのが特徴です。

こんにゃく芋の種類

品質改良でさらに高品質のものに

日本には、古くから栽培されている「在来種」「備中種」という種類がありましたが、これらはそれぞれが似た性質を持っていたため、掛け合せて品種改良することが難しく、大正時代に中国から「支那種」という種類を輸入することで、より栽培しやすい品種を作ることに成功しました。

その結果「はるなくろ」(昭和41年)、「あかぎおおだま」(昭和45年)、という改良種が誕生。現在では生産の90%以上をこの2種類で占めています。さらに平成9年には「みょうぎゆたか」という、より栽培しやすく、生産性の高い品種が登場しています。

こんにゃく芋の栽培方法

「運玉(うんだま)」と呼ばれたこんにゃく芋

古くから栽培されていたこんにゃく芋ですが、意外にも安定した栽培法が確立されたのは昭和30年頃。こんにゃく芋は葉に傷がつくだけでも病気になってしまうほどデリケートな植物のため、強い日光や風、干ばつ、水はけのわるい場所ではうまく育ちません。それまでは長年の経験と運まかせだったため、「運玉」とも呼ばれるほど栽培者泣かせの作物だったのです。

こんにゃく芋は年平均13度ほどの気温が必要なため、寒冷地では栽培はできるものの、大きく育つことが難しく、露地栽培は宮城、山形あたりが北限となります。昔はごく一般の農家で家庭用に栽培されていましたが、生産重視の栽培になってからは群馬をはじめ、栃木、埼玉などの北関東地方で多く作られるようになりました。

収穫したこんにゃく芋もデリケート

タネイモとなるこんにゃく芋は収穫後の温度管理が必要です。畑で半日干してからさらに風通しのよい日陰でよく乾燥させます。冬の間は新聞紙に一つずつくるみ、風通しのよいかごなどに入れて最低気温が13度以下にならないところに保存します。

こんにゃくの効用

こんにゃくマンナンの優れた解毒作用

こんにゃくは昔から「おなかの砂おろし」や「胃のほうき」などといわれてきました。これは、食物繊維の豊富なこんにゃくを食べることで体に不必要なものを掃除する、という意味です。最近この「先人の知恵」がさまざまな実験で裏付けられています。

たとえば、ダイオキシンといえば環境汚染の代表的な毒物で、特に胎児や乳児の成長に悪影響を及ぼしますが、ラットの実験によると、食物繊維の一種であるセルロースや米ぬか繊維を10%添加したえさを与えると、肝臓に蓄積されていたダイオキシンが75〜84%に減少し、さらに体外に排出された便には通常のエサを与えたラットに比べて約2.5倍ものダイオキシンが含まれていました。これは、食物繊維が小腸と肝臓の間を循環しているダイオキシンを吸着し、便とともに体外に排出していることを表しています。

こんにゃくに含まれるグルコマンナンは食物繊維

こんにゃくの主成分であります、グルコマンナンはいわゆる食物繊維とよばれるもので、たんぱく質、脂質、糖質,ビタミン、ミネラルの5つが5大栄養素と呼ばれるのを受けて、最近では第六の栄養素とも呼ばれています。そもそも食物繊維は体内で消化・吸収されないので栄養素ではないとされていましたが、食物繊維が体の中を通るだけで、体にとても大切な効用をもたらすことが明らかになっており、このように呼ばれます。

大腸ガンの予防によいと言われています

普通食べ物は胃や小腸で消化吸収されますが、食物繊維は消化吸収されずに大腸へ行ってしまいます。そして、腸の中の環境を変えるという働きをします。現代の食生活においては、知らず知らずのうちに食品添加物をはじめ有害な物質を体の中に取り込んでしまいます。食物繊維はこのような有害な物質が体内に吸収されるのを防ぐ働きをするので大腸ガンの予防に効果的と言われています。俗におなかの砂おろしといわれる訳は、この様なところから来ているのかも知れません。

便秘を解消すると言われています

食物繊維には水分を吸収して膨らむという性質があります。したがって大腸にたどり着くころには、十分に膨らんでかさが増え、腸の内部を刺激し、その動きを活発にします。これにより便通を促し、便秘の解消に役立つことになるのです。実際こんにゃくを食べますと個人差はありますがお通じが良くなるのは確かです。特に男性の場合は食べ過ぎると、おなかがゆるくなる場合もある様です。

糖尿病、高血圧の予防に良いと言われています

糖尿病は、血液中のブドウ糖の量(血糖値)を調整するインシュリンというホルモンが不足したり、その働きが悪くなって、血糖値が高くなるという病気ですが、食物繊維にはインシュリンを増やし、血糖値の上昇を抑える働きがあると言われています。

また、コレステロールや中性脂肪の高い人の血液を正常に戻す作用も認められているようで、血圧の上昇を抑える働きもあり、高血圧の予防も期待できます。